1.5 ケース・スタディ

以下の4つのケースは、私たちが実践してきたコンサルティングから持って来たもので、異なるタイプの予測状況と、予測に伴ってしばしば生じる挑戦の紹介です。

ケース 1

顧客はナプキンや紙皿などの使い捨て台所用品を製造している大企業でした。何百もある製品ごとに毎月の予測を求めていました。時系列データを見ると、そのパターンは、トレンドを示すもの、季節性を示すもの、どちらもないもの、とさまざまでした。当時、彼らは社内で作成した独自ソフトウェアを使っていましたが、訳がわからない予測を生成することもしばしばでした。用いられていた手法には以下のようなものがありました。

  1. 過去12カ月の平均値を予測とする
  2. 過去6カ月の平均値を予測とする
  3. 過去12カ月の直線トレンド回帰線を伸ばして予測とする
  4. 過去6カ月の直線トレンド回帰線を伸ばして予測とする
  5. 前年同月比伸び率の過去12カ月分の平均値の傾きで、最新値から伸ばして予測とする
  6. 前年同月比伸び率の過去6カ月分の平均値の傾きで、最新値から伸ばして予測とする

彼らが私たちに求めたのは、どこがいけないのか教え、より正確な予測を生成できるようソフトウェアを修正することでした。ソフトウェアはCOBOLで記述され、洗練された算術計算は困難でした。

ケース 2

このケースでは、顧客はオーストラリア連邦政府で、医薬品給付スキーム(PBS)についての年次予算の予測を求めていました。PBSは、オーストラリアで販売されている多くの医薬品に補助金を提供しており、その支出額は人々が年間どれだけ対象医薬品を購入するかによります。総支出額は2009年で約70億オーストラリア・ドル。私たちがより正確な予測アプローチを開発する手助けを求められる前の2年間は、毎年10億オーストラリア・ドル近く過小に予測していました。

総支出額を予測するには、何百もの医薬品群の販売量を月次データを使って予測する必要があります。ほとんど全ての医薬品群にトレンドと季節パターンがありました。多くの医薬品群では、補助金対象が変更されることで、販売量が突然増加したり減少したりしていました。また、より安価な競合薬の登場によって、突然変動したこともあります。

トレンドと季節性がある場合それを取り込むと同時に、基調パターンの突然の変化にも堅牢な予測手法を、私たちは見つけ出す必要がありました。また、大量の時系列に自動的に適用できる必要もありました。

ケース 3

自動車リースの大企業が車両の再販価格予測について、私たちに助けを求めてきました。彼らは新車を購入し、3年間リースし、その後売り払っています。車両の再販価格をより上手く予測できれば、会社の利益になります。何が再販価格に影響するか理解できれば、利益を最大化するようにリースと販売の契約条項を作り出せるのですから。

当時、再販価格予測は専任の集団が行っていました。残念なことに、彼らはどんな統計モデルであれ彼らの職への脅威と見なし、情報提供に非協力的でした。それでも、会社は車両とその再販価格の過去データを大量に提供してくれました。

ケース 4

このプロジェクトでは、オーストラリアの一流航空会社の1つから、主要国内線の週次乗客数を予測するモデルの開発を依頼されました。会社の要求は、主要国内線ごと、かつ、クラスごと(エコノミー、ビジネス、ファーストのクラス)の乗客数予測でした。会社は6年前からの週次乗客数データを提供してくれました。

学校の休日、大規模なスポーツイベント、広告キャンペーン、競合他社の行動などが乗客数に影響します。学校の休日はオーストラリアの都市ごとに異なっていることがしばしばありましたし、スポーツイベントは都市から都市へ移動することがありました。過去データの期間内には、数カ月にわたって飛行が止まったパイロットによる大規模ストライキがありました。新規の格安航空会社が参入したり、撤退したりしました。過去データの末期にかけて、会社はエコノミー席を減らしてビジネス席を増やしたり、ビジネス席を減らしてファースト席を増やしたり、席の再配分を試行していましたが、数カ月後には元の配分に戻していました。