第 11 章 階層化、グループ化時系列の予測

時系列は、興味のあるさまざまな属性でしばしば自然に分解できます。例えば、自転車メーカが販売する自転車の総台数は、ロードバイク、マウンテンバイク、ハイブリッドバイクといった製品のタイプで分解できます。さらに細かいカテゴリーにも分解できます。例えば、ハイブリッドバイクは街乗り用、通勤用、楽ちん用、トレッキング用バイクに分解できる、といった具合です。これらのカテゴリーはより大きなグループ・カテゴリーの入れ子になっているので、この時系列の集まりは階層化集計構造に従います。これらを「階層化時系列」と言います。

階層化時系列はしばしば地理区分から生じます。例えば、自転車の総売上高は国別、次に各国内の州別、各州内の地域別、と続いて、販売店レベルまで分解できます。

もう一つの集計構造は、興味のある属性が入れ子ではなく交差している場合に生じます。例えば、自転車メーカはフレーム・サイズ、性別、価格帯などの属性に興味があるかもしれません。そうした属性は入れ子になっていないので、階層化のように自然に一意には分解できません。こうした交差する属性の時系列を「グループ化時系列」と言います。

興味のある属性が入れ子、かつ、交差している場合、より複雑な構造が生じます。例えば、自転車メーカが製品タイプ別売上高と地理区分別売上高の両方に興味があるのは自然なことでしょう。すると、製品グループと地理的階層が混じり合います。そうしたその他の集計構造も11.1節で紹介します。

全ての分解系列と集計系列の予測が必要になることがよくあり、予測を実績同様足し上げたくなるのは自然なことです。例えば、地域別売上高の予測を足し上げると州別売上高の予測になり、それを足し上げると今度は全国売上高の予測になる、ようにしたいわけです。

本章では、何らかの方法で集計できる時系列の大きな集まりを予測することを議論します。課題になるのは、集計構造全体を通して一貫性のある予測が必要なことです。つまり、時系列の集まりを定義する階層、もしくはグループ、の集計構造と一致する形で足し上げられた予測が必要なのです。