まえがき

予測についての私たちのオンライン教科書へようこそ。

この教科書は、さまざまな予測手法を網羅的に紹介し、読者が分別をもって活用できるよう、各手法につき十分な情報を提供することを意図しています。各手法の背景にある理論的詳細については深く議論しませんが、それら詳細の多くを満たす参考文献を各章の最後に置いています。

この教科書が想定している読者層は、 (1) 予測について正式な訓練を受けていないのに、ともかくもビジネスの中で予測することになった人たち、 (2) ビジネスを学習している大学生、 (3) 予測を選択科目として選んだMBAの学生、の3種類です。

実際、オーストラリアのモナシュ大学では大学院生と大学3年生を対象に、私たち自身この教科書を使っています。

大半のパートは、初歩的な統計学と高校レベルの数学に馴染んでいれば理解できるようにしています。行列の知識が必要なパートがいくつかありますが、印を付けてそれと分かるようにしてあります。

各章の最後に置いた「さらに学習するために」では文献をリストしています。大概は、各章の内容についてより高度もしくは詳細な教科書のリストになっています。そうした適当な教科書がない場合、さらなる情報を提供している学術誌論文をリストしています。

この教科書を通じて R を使用していきます。読者にはRを使った予測を学んでもらいます。Rは無料で、ほとんど全てのOSで動作します。予測だけでなく、全ての統計分析に使える素晴らしい道具です。Rをインストールし使えるようにするための手順は、 付録: Rの使用 を参照してください。

この教科書の全てのRコード例は、以下のようにして最初に fpp3 package がロードされていることを前提としています。

library(fpp3)
#> Registered S3 method overwritten by 'tsibble':
#>   method               from 
#>   as_tibble.grouped_df dplyr
#> ── Attaching packages ──────────────────────────────── fpp3 1.0.0 ──
#> ✔ tibble      3.2.1     ✔ tsibble     1.1.5
#> ✔ dplyr       1.1.4     ✔ tsibbledata 0.4.1
#> ✔ tidyr       1.3.1     ✔ feasts      0.3.2
#> ✔ lubridate   1.9.3     ✔ fable       0.3.4
#> ✔ ggplot2     3.5.1     ✔ fabletools  0.4.2
#> ── Conflicts ───────────────────────────────────── fpp3_conflicts ──
#> ✖ lubridate::date()    masks base::date()
#> ✖ dplyr::filter()      masks stats::filter()
#> ✖ tsibble::intersect() masks base::intersect()
#> ✖ tsibble::interval()  masks lubridate::interval()
#> ✖ dplyr::lag()         masks stats::lag()
#> ✖ tsibble::setdiff()   masks base::setdiff()
#> ✖ tsibble::union()     masks base::union()

こうすることで、必要なデータセットと、上記出力にある複数のパッケージが利用可能になります。それらパッケージの中には、tidyverse と総称されるパッケージ群のいくつかと、それが提唱する “tidy” なフレームワークの中で時系列と予測を扱うパッケージ を含んでいます。

上記出力はまた、本書のこの版を編集したときに使用した各パッケージのバージョンを示しています。本書のRコード例の中には、このバージョンより古いバージョンを使うと動作しないことがあります。

上記出力のConflictsには、複数のパッケージで同じ関数名が用いられているときに、どちらのパッケージの関数が優先されるか、がリストされています。

本書は他の予測に関する教科書といくつかの点で異なっています。

  • 本書は無料でオンラインで読め、広い読者層にアクセス可能にしています。
  • Rを使用しています。Rは無料で、オープンソース、そしてとても強力なソフトウェアです。
  • オンライン版は継続的にアップデートしていきます。過ちの除去や新しい手法の議論を次の版まで待つ必要はありません。頻繁にアップデートするつもりです。
  • 私たち自身が実践したコンサルティングから持って来た実際のデータが何十とあります。何百もの会社や組織の予測を手伝ってきました。その経験は、本書で用いる事例の多くを直接もたらしてくれましたし、私たちの予測哲学を広く導いてくれています。
  • 他のほとんどの予測者よりもグラフを用いた手法を強調しています。データを探索するにも、適合させたモデルの有効性を分析するにも、予測結果を提示するにも、グラフを用いています。

第3版における変更点

第3版で最も重要な変更点は forecast パッケージよりも tsibblefable パッケージを使うようになったことです。この変更により、tidyverse パッケージ群と密接に統合できるようになりました。結果として、それら新しい道具 を活用できるよう多くの事例を入れ替えました。

また、時系列データの特徴量について新しい題材をいくつか追加し、予測手法を紹介する前に時系列の探索的分析を議論する章 24 が来るよう、章立てを再編しました。モデル構築や予測生成を試みる前に、まずは手元にある時系列データとそのパターンや特徴を良く理解するべきだと考えたからです。

本書の以前の版では、読者が見つけた誤字脱字や誤りを私たちに知らせて助けてくれました。それらはオンライン版では直ちに修正しました。この第3版にも新しい誤りがあることに疑いの余地はありません。見つけ次第オンライン版で修正していくつもりです。何か見つけたら、今後とも私たちに知らせてください

本書で議論するRパッケージの使用法について、あるいは、予測全般について、質問がある場合、 RStudio Community website で尋ねてください.

 

楽しく予測しましょう!

Rob J Hyndman と George Athanasopoulos

2021年5月


本書のオンライン版を引用する場合、以下を用いてください。

Hyndman, R.J., & Athanasopoulos, G. (2021) Forecasting: principles and practice, 3rd edition, OTexts: Melbourne, Australia. OTexts.com/fppjp. Accessed on <current date>.

 

This online version of the book was last updated on 14 July 2024.

The print version of the book (available from Amazon) was last updated on 31 May 2021.