第 1 章 はじめに

予測は数千年にわたり人々を魅了してきました。それは、神聖な霊感の兆しと考えられたことも、犯罪行為と見なされたこともあります。紀元前約700年にユダヤ人預言者 Isaiah は以下のように記しています。

将来どうなるかお告げください、さすればあなた様が神と知ることになりましょう。
(Isaiah 41:23)

百年後、古代バビロンの予測者たちは腐った羊の肝臓に湧く蛆虫の散らばり具合から、将来を占っていました。ほぼ同じ頃、予測を欲する人たちはギリシャのデルフィに出向いて、エチレンガスを吸って酩酊しながら神託を語る巫女に相談していました。ローマ皇帝コンスタンティヌスの統治下、紀元後357年には、誰であれ「占い師、数学者、予測者に相談することを禁じ \(\dots\) 将来を予言することへの好奇心は永遠に沈黙せしめる」と命令が出され、予測者にとって辛い時代でした。似たような予測の禁止は1736年の英国でも起きました。対価を取って予測することは詐欺罪に当たるとされたのです。刑罰は3カ月の重労働を伴う投獄(!)でした。

予測者たちに幸運と不運の大きな差がついたのは、良い予測はほとんど魔術と思えるのに対し、悪い予測は危険だからです。コンピュータについての以下の有名な予測について考えてみてください。

  • コンピュータの世界市場は5台くらいのものだろう。 (IBM 会長, 1943年)
  • 将来のコンピュータは重さ1.5トンを切るくらいにはなるだろう。 (Popular Mechanics, 1949年)
  • 誰もが家にコンピュータを持ちたがる理由なんてない。 (DEC 社長, 1977年)

最後の予測は、IBMが最初のPCを製造するほんの3年前になされたものです。今ではDECのコンピュータが買えないのも驚くに当たりません。予測は明らかに困難な行為ですが、上手く予測できる企業は上手くできない企業に対して大いに有利な立場に立てるのです。

本書では、予測を生成する最も信頼できる手法を探っていきます。強調するのは、再現、検証可能で、実績のある手法です。