2.5 季節別時間プロット (Seasonal Subseries Plot)

季節パターンを強調するもう一つの手は、各季節ごとにデータを集めてそれぞれの時間プロットを描くものです。

a10 %>%
  gg_subseries(Cost) +
  labs(
    y = "ドル (百万)",
    title = "オーストラリア抗糖尿病薬の売上高"
  )
季節別時間プロット: オーストラリア抗糖尿病薬の売上高(月次)

図 2.8: 季節別時間プロット: オーストラリア抗糖尿病薬の売上高(月次)

青い水平線は各月平均です。この形のプロットでは、底流にある季節パターンが明確に見えるだけでなく、季節性の経年変化も見えます。特定の季節内の変化を識別するのに特に役立ちます。この例では特に分かりやすいプロットになりませんでしたが、季節性の経年変化を見るには、季節別時間プロットが最適な場合もあります。

事例: オーストラリア休暇旅行

オーストラリア四半期休暇旅行データは、これらプロットから何が分かるのかを示すことができる面白い事例です。まずは、tourismtsibbleから関連データを取り出しましょう。いつもデータと格闘するために使っているtidyverseパッケージの動詞が使えます。キー変数の1つPurposeが”Holiday”であるデータだけを抽出し、(他のキー変数Regionを越えて)Stateごとに集計した四半期宿泊客数を得るには、以下のコードのように書きます。group_by()に明示的に時間を表すインデックス変数Quarterを入れていないのに、四半期ごとの tsibbleが得られていますね。なぜならばtsibbleにはインデックス変数が欠かせないからです。

holidays <- tourism %>%
  filter(Purpose == "Holiday") %>%
  group_by(State) %>%
  summarise(Trips = sum(Trips))
holidays
#> # A tsibble: 640 x 3 [1Q]
#> # Key:       State [8]
#>    State Quarter Trips
#>    <chr>   <qtr> <dbl>
#>  1 ACT   1998 Q1  196.
#>  2 ACT   1998 Q2  127.
#>  3 ACT   1998 Q3  111.
#>  4 ACT   1998 Q4  170.
#>  5 ACT   1999 Q1  108.
#>  6 ACT   1999 Q2  125.
#>  7 ACT   1999 Q3  178.
#>  8 ACT   1999 Q4  218.
#>  9 ACT   2000 Q1  158.
#> 10 ACT   2000 Q2  155.
#> # … with 630 more rows

各系列の時間プロットからは、ほとんどの州で強い季節性があるものの、その山のタイミングは同じではないことが分かります。

autoplot(holidays, Trips) +
  labs(y = "宿泊客数 (千人)",
       title = "オーストラリア国内、休暇旅行")
時間プロット: オーストラリア国内、休暇旅行の州別宿泊客数

図 2.9: 時間プロット: オーストラリア国内、休暇旅行の州別宿泊客数

各州ごとに季節性の山のタイミングを見るには、季節プロットが使えます。図2.10からは、オーストラリア南部の州(Tasmania、VictoriaとSouth Australia) では Q1(これらの地域では夏に当たります)に宿泊客数が最多なのに対し、北部の州 (Queenslandと the Northern Territory) では Q3(これらの地域では乾季に当たります)に最多となっています。

gg_season(holidays, Trips) +
  labs(y = "宿泊客数 (千人)",
       title = "オーストラリア国内、休暇旅行")
季節プロット: オーストラリア国内の州別宿泊客数

図 2.10: 季節プロット: オーストラリア国内の州別宿泊客数

同じデータを季節別時間プロットにしたのが、図2.11です。

holidays %>%
  gg_subseries(Trips) +
  labs(y = "宿泊客数 (千人)",
       title = "オーストラリア国内、休暇旅行")
季節別時間プロット: オーストラリア国内、休暇旅行の州別宿泊客数

図 2.11: 季節別時間プロット: オーストラリア国内、休暇旅行の州別宿泊客数

この図からは、近年、西オーストラリア州(Western Australia)で宿泊客数が顕著に増加している一方、ビクトリア州(Victoria)では Q1 と Q4 は増えているが年央は増えていないことが明らかになります。